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小説「ののが裕子で裕子がのので」

1 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:50

一気に長々と書くので、
どんどん下げで、行っちゃいます。


2 :名無しさん@1周年:2000/06/19(月) 23:51
僕は上げちゃいます

3 :名無しさん@1周年:2000/06/19(月) 23:53
あっ、めちゃくちゃ気になってました。後藤Pとリンクしてるんですか? すごく楽しみにしています。

4 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:54
>2
いや〜ん

5 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:58

同時に二つの小説を書く、ってのを急にやりたくなったので、やります。

さて、こっちの話の更新は、ちょっと遅いです。
なぜなら、もう一つの方に力を入れてるから。
あと、先の展開を考えてないから。

こっちも、ワンアイディアの、軽い読み物を目指してます。

あ、あと、大林作品の方、私、見てません。
なので、共通項は、例によって、題名だけです。

それでは、とりあえず、プロローグをどうぞ。
(原稿用紙換算、10枚。30分で書いた。改行多いからな)


6 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:58

プロローグ

明日は、ハロプロの本番だった。
実際のステージを使っての、ダンスのフォーメーションの確認作業中だ。みんな、
ピリピリしている。

オープニングの、ハピサマの立ち位置を、何度も何度も煮詰めていく。

(この間奏のタイミングで、真ん中に出て、と)

「紹介します。証券会社に勤めている、杉本さん」

「はい音楽止めてー、何やってんのそこッ」
夏先生が、怒鳴る。
(なんでやねん。調子ようやっとったやないか)
こっちも怒鳴り返そうとして、違和感に気付く。

なっちが、ヒソヒソ声で、私に耳打ちする。

「なんで辻がそこで入るべさ」

        ◇


7 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:59

一週間ほど、時間はさかのぼる。

「おおっ、辻、あんた結構イケる口やな」
「じゅっさいから、のんでました〜」

思えば、あれがいけなかった。
面白半分に辻にビールを飲ませたら、くいくい飲んでしまったのだ。

弱気になっていたんだと思う。
いつもコミニュケーションに悩んでいたんで、酒、という意外な共通事項を見つけて、
つい羽目を外してしまったのだ。

コンサートツアーを間近に控えて、娘。のメンバーたちはホテルとダンススタジオの
往復の日々を送っていた。
私は娘。のリーダーとして、新人4人を、どうやって戦力にしていくか、悩んでいた。
とにかく、意志の疎通が出来ないのだ。
まだ、石川と吉澤はなんとかなった。しかい、辻と加護は、それはもうどうしようも
なかった。


8 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:59

(明日香は、12才やったけど、しっかりしてたわ)

昔のメンバーと比べるのはいけないことだとは分かってはいたが、どうしても比較
してしまう。
(色々経験しても、結局は最初の男が一番やった、って法則と同じやな)
ちょっと違うような気もする。

中澤裕子。27才である。
加護の父親と、4才しか違わない。

(ホンマ、がっくりやわ)

ホテルの、私の部屋である。
クローゼットには、フロントから持ってこさせた、洋酒日本酒が山と積まれている。
ま、一週間分やから、これくらいないとな。
本当は、今日は平家のみっちゃんが遊びに来る予定だった。なのに、ドタキャンされた。
一人でグイグイ酒を飲んでたら、辻が、分からないことを教えて欲しい、と部屋を訪ね
てきたのだ。
(なんや、学校のセンセーみたいやな)
で、面白がって、酒を勧めてみた、ってのが、今回の事件の始まりなのだった。


9 :黄色い狛犬:2000/06/19(月) 23:59

辻は、その小さな身体に似合わないほど、大量の酒を飲んだ。姉さんが負ける訳には
いかん、むしろ、3倍は飲まんと示しがつかん、と、痛飲したのがマズかった。
2人で(というよりは、やっぱほぼ1人で、なんやろな)クローゼットの酒の、半分
を飲んでしまったのだ。

そして、明け方、悪夢は始まった。

「ふぁ〜、あイタタタタ、頭痛い……久々に、無茶したなあ」
痛む頭を押さえて、時計を見る。午前4時。
部屋の中は、すごい惨状だった。

(ははは……ベッドメイクさんに、チップでもあげとこうかな)

トイレに行こうと、ベッドを飛び降りた。
着地の衝撃で、頭がガンガンした。
私にはツインの部屋が割り当てられていて、もう一つのベッドに辻が寝ているはずだ。

毛布から、足かニョッキリと伸びている。
(案外、辻の足って色っぽいなあ。最近の子どもは、身体だけは一人前やで)
年寄りクサいことを考えながら、ユニットバスに向かう。


10 :黄色い狛犬:2000/06/20(火) 00:00

ははは……。

笑う。
(はいはいはい。裕ちゃんはな、なんとなく、気付いてましたよ)
なんで、ベッドが、飛び降りないといけないくらい、デカくなってるのか?
どうして、辻の足があんなに色っぽいのか?
そして、どうして、こんなに、蛇口の位置が高いのか?

鏡を見る。
辻がいる。

(ほらな、思ったとおりや)

水を飲んで、ベッドにもぐり込んだ。
これは夢やからな。目が覚めたら、元通り。こーゆー時には、トイレもせん方がええ
やろ。酔っておねしょした、なんてことになったら、嫁入り前の娘の経歴にキズが
つくわ。
私は、目を閉じて、二度寝に入った。


11 :黄色い狛犬:2000/06/20(火) 00:00

(なかざわさん、なかざわさん)
身体を揺すられる。
(なかざわさん、おきてください)
なんや、もう朝か?
ほら、見てみい。夢やったろ? はいはい、裕ちゃんは起きますよ。
「おはよう、辻か?」

目を開ける。
中澤が、私を揺すっている。

「なんや、びっくりしたわ。まだ夢の途中みたいやな。もいっかい、寝るわ。今度は
ちゃんと起こしてや」

私は、毛布を頭からかぶる。
毛布を引っ張られる。
「なかざわさん、なかざわさん」
声は、泣きそうになっている。

「ホンマしつこい夢やな。寝るっちゅーてんねん」

がばっ、と起きあがる。
時計は、午前4時半。


12 :黄色い狛犬:2000/06/20(火) 00:01

バリバリと頭をかく。

中澤裕子が、泣きそうな顔をして、こっちを見ている。
部屋の鏡には、私が座っている位置に、辻が写っている。

もう一度、中澤を見る。
自分の手を見る。

中澤を見る。
鏡を見る。

「ふ〜ん」

私の2度目の12才は、こうして始まった。

(続く)

13 :黄色い狛犬:2000/06/20(火) 00:02

とりあえず、続くです。
ま、気長に待ってて下さいませませ。


14 :名無しさん@1周年:2000/06/20(火) 00:03
2つの小説がリンクしてるのね、やるー!

15 :名無しさん@1周年:2000/06/20(火) 00:04
おぉ〜なんか面白そう。この後後藤が出てくるのかな。

16 :名無しさん@1周年:2000/06/20(火) 00:04
おれがあいつで、あいつがおれで、、、は原作ッスよ。大林監督のは『転校生』
映画の評価は高いけど、小説のほうが好きだったなあ……さておき期待してます。

17 ::2000/06/20(火) 00:43
うん、とても面白かったです!続きは気長に待たせていただきます。
期待してまっせ〜。

18 :名無しさん@1周年:2000/06/20(火) 01:39
>18
おお、俺も小説派よ。
切なさがあったな小説のほうが。

19 :名無しさん@1周年:2000/06/21(水) 01:51
あげじゃ

20 :名無しさん@1周年:2000/06/21(水) 01:53
なんか見当たらなかったから履歴から引っ張りあげたらおかしくなっちゃった。


21 :名無しさん@1周年:2000/06/21(水) 02:05
あ、直ったかな?

22 :名無しさん@1周年:2000/06/22(木) 22:52
期待しております。

23 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:07

もう……もう、俺には、小説しかないんだあっ!!
暴走する情熱と妄想。そして愛。

ようやく、今後のプロットが完成しました。あとは書くだけです。
(予定なので、変わるかも知れません)

【プロローグ】
【1日目:ののの世界】
【2日目:お風呂♪】
【3日目:中澤の憂鬱】
【4日目:活劇】
【エピローグ】

それでは、【1日目:ののの世界】をお送り致します。


24 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:08

【一日目:ののの世界】

(どうしてこんなことになったんだろう)
(これから、私たちはどうなるのだろう)

などとロマンティックに悲観に暮れたりはしなかった。
最初に脳裏に浮かんだことは、
(今日のダンスレッスンどないしようか)
であった。
27才は、リアルなのだ。

(辻のパートのダンスは、まだ簡単なステップの組み合わせやさかい、ウチでも出来る)
(問題は、辻や。こいつ、今でもピーピーやのに、自分のパート変わったら、もう対応
でけへんで)

マネージャーが、プロのダンサーが踊っているフォーメーションビデオを持っている。
それを借りてこよう。
朝の集合までに、ある程度、辻に教育しておく必要があった。
「辻、ちょっと待っててや。今から特訓やで」
「あっ、なかざわさんッ」
私は、部屋を出て、マネージャーの部屋に向かった。


25 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:09

ドアをノックする。
中からの反応はない。当然か、まだ5時前やからな。
しかし、こっちはそれどころやないんや。行儀ようやってるヒマないで。
興奮状態のまま、ドアを殴ったり蹴ったりした。
「こらー、キャシー、寝てるんか。はよ起きいッ」
中でゴソゴソ動く音が聞こえて、ドアが開いた。
「あ……あれ、のの、ちゃん?」
「ののやあるかいな。ダンスのビデオあるやろ、あれとっとと出しいな」
茫然と、私を見下ろしているキャシー。
「朝から寝ぼけてるんかい。早よせえ。こっちはメッチャ焦ってる、っちゅーねんッ」
イライラしながら、ようやくビデオを受け取った。

急いで自分の部屋に戻ると、ドアの前にごっちんが立っていた。マズイ。このことは、
出来るだけメンバーには秘密にしておきたい。

「おう、ごっちん、朝からどないしたんや。今日な、裕ちゃん、調子悪いねん。
ごめんやで」

ごっちんの返事も聞かずに、ドアを乱暴に閉めた。
こんな朝早くから、なんか具合の悪いことでもあったんやろか。でも、今はそれどこ
ろやあらへんからな。
「よし、辻。このビデオの中で、ウチのパート、じっくり見て、覚え。30分たったら、
振り付けのテストやるで」


26 :名無しさん@1周年:2000/06/22(木) 23:09
わーい。

27 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:10

30分後。
ウチの姿をした辻は、横座りでさめざめと泣いていた。
「あーもう、ムカツクなあ。ウチはそんな風に泣いたりせえへんっちゅーねん。
『ろーけんがいさにつとめている』ってなんやねん。滑舌悪すぎやで辻」
私は、頭をガリガリかきむしった。
ダメだこりゃ。

「今日は、無理やな。病欠にしといたるさかい、一日、コレ見て自習しとき。夜、
ダンスと歌の特訓や」
(2人同時に休むのは不自然やろな。ウチは、普通にレッスンに参加しとこか)

ま、今の辻の立ち居振る舞いはあまりにも不自然過ぎる。普段の私らしく動いてもら
わないと、すぐにバレてしまいそうだ。
その朝は、自分のことは棚に上げて、そんな風に思っていた。


28 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:10

(さてと)
ホテルから、ダンススタジオまで車で15分。
動きやすいジャージに着替えて、私は事前の柔軟体操中だった。
しかし、若い身体は驚くほど柔軟だ。
なにもしなくても、すでに身体がほぐれている。
いいなー、若いのって。ずっとこのままでいたいくらいやわあ。

「ののちゃん、おはよー」
石川が、ニコニコしながら、話しかけてきた。
なんやこいつ。朝からテンション高いなあ。いつもはおどおどしてるのに、ウチの前や
ないと、こんなにも朗らかなんか。
「今度のダンス、難しいね。まだ全然分かんないよ」
はあ? 昨日のうちに、基本的なステップはマスターするように夏先生に言われとった
はずやのに、何ゆうてんねん。
「ののちゃんはどう?」
私は、柔軟体操の締めくくりの代わりに、辻のステップで軽く流してみせた。まだまだ
不完全だが、見てただけではこれが限界だ。
「すっごーい。ののちゃん、完璧じゃん。夏先生もビックリだよきっと」
なんか、イライラしてきた。


29 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:11

「なあ、石川。あんた、いつまでシロウト気分でおるんや?」
石川は、目を丸くした。
「すっごーい、ってアホちゃうか? 同期がこんだけ出来てんねんで。まだ全然分か
へん? 焦ったりせえへんのか。どない思っとんのや。なんか言うてみい」
「え……」

戸惑った表情で立ち尽くしている。
「その、これから、頑張ろうと……」
「これから? 昨日、マスターしておくように言われたやないか。お客さんが、お金払
って見に来てくれるステージで、そんな甘いこと言ってて、通用すると思うてるんかッ」

ついに、石川は泣き出した。
ちょっとだけ、後悔した。
朝からいろいろあって、ナーバスになってるみたいだ。ついキツイ口調になってしまった。
「あわわわ、りかっち、どうしたのよ」
石川の涙に駆けつけてきたのは、やぐっちゃんだった。
「なに、ケンカなの?」
私を見て、言う。

「説教したら泣いてもーてん」
「説教って……ちょっと辻っ」
やぐっちゃんは、私に向き合って立った。
「あのねえ、娘。同士、仲良くしないといけないでしょう。ケンカはダメっ」


30 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:12

こいつ、人の話、聞いてへんな。指導やんか。こんなんで泣かれてたら、この先、
芸能界渡っていかれへんで。
「なんや、やぐっちゃん、ウチよりも背ぇ低いなあ。一番のチビッコや」
ヘラヘラ笑いながら、言ってやった。
「あああっ」
やぐっちゃんは、傷ついたのか、大きな声を出した。

私は不意に顔を真面目にさせて、
「ええか、娘。は仲良しグループである前に、プロの歌い手やねんで。自覚なしに
ステージに立たれたら、聞いてくれるお客さんに失礼や。昔にも、そんなこと言うた
ことあったはずやで。矢口、忘れたか?」
低く、声色を作って言う。

やぐっちゃんは、ビビって2、3歩後ずさりした。
「私が悪いんです。ごめんなさい」
石川は泣きながら、私とやぐっちゃんに謝った。
「ふん。まあええわ。今日は、しっかりレッスンやるで」



31 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:12

私は、若さとはこういうことか、と驚愕していた。
いつもなら、いったん息が切れると、しばらくは戻らなかったのに、少しのインター
バルで、すぐに体力が戻ってしまうのだ。
(うっわー。この身体、気に入ったわ)
面白いほど、今日のレッスンは進んだ。

みんなはへばっていたが、もう一人、絶好調がいた。
ごっちんだ。
(早朝の、ウチへの訪問は、一体何やったんかなあ)
なんか、表情が生き生きしている。横顔を見ていると、こっちが少しポーッ、となる。
まるで……なんかジャニーズの若手と合同練習してるみたいだ。

他のメンバーも、なんかごっちんをチラチラ見て、落ち着かない感じだ。
なんやろな、あれ。
あんまり度を越すと、回りに悪影響与えかねんな。
休憩時間中に、まだ鏡の前で繰り返し練習しているごっちんに、探りを入れてみること
にした。


32 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:13

「おっ、ごっちん、いつもと違って、やる気あるやん」
ごっちんに近寄ると、不思議な印象は強まった。なんか、足下が浮き立つような感じだ。
ごっちんの汗の匂いは、官能的でさえあった。
「辻さあ、あんた、なんかおかしくない?」
「え? そんなことあらへ──(ゴホン)そんなことないよ。普通や普通」
逆に、こっちに探りを入れられた。
マズいな。今日のごっちんは妙や。なんか、引き込まれそうや。

「ふーん、まあいいや。ねえ、辻。今朝のことだけど、裕ちゃん、やっぱ様子おかしい
よね」

やばい、他のメンバーが、ウチらの会話に聞き耳たててるわ。これは、ちょっと釘さし
とこか。
「全然おかしくないない。……ごっちん、ちょっとこっち来」

廊下に連れ出した。

「ごっちん、ヘンなこといわないでよね。みんながふしんにおもうから」
ごっちんは、目を細めて、私を見た。
「なにを、隠してんの」


33 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:15

ははは、するどいな。
いつもの手で、ごまかしてしまえ。

「ちょっとみみかして」
「なに?」
ごっちんをかがませる。
「んっ」
すばやく、キッスを奪う。わはは……あれ?
くらくらと、目眩がした。
(なんやこれ……ごっちん、男っぽいなって思うてたけど……)
この、唇の懐かしい感触。
(こいつ、男やで)
ごっちんは、慌てて私を突き放そうとした。
ううん、もう少しぃ。
がしっ、とごっちんの頭にぶら下がる。
「……」
「……」
久々の体験を、つい楽しんでしまった。
(はああ)
心の中で、ため息をつく。エエもん頂いたわ。
確証はないけど、なんとなく、ごっちんの身の上になにが起こったのか分かった。
ゴメンな、ごっちん。今は、力になられへんわ。いつもの裕ちゃんやったら、しっかり
協力したげるねんけど。
(まずは、下半身チェックからやけどな)


34 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:15

「あんまし追求しないほうがいいよ。そのほうが、ごっちんの身のためだから」
にっこり笑って、きびすをかえす。

「裕ちゃん、待ってよ」
「なんやねん。ごっちん、しつこいで」

イライラを装って、振り返る。

「私、裕ちゃん、って呼んだんだけど」
がーん。こんな単純なトリックにいいっ!
「えっ……わたしはののちゃんだよ、てへへっ」
ラヴリーなポーズで返事する。
「可愛くない」
ううっ。


35 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:16

こうなったら仕方ない。実力行使や。

油断しているごっちんの胸ぐらをつかみ、ぐいと引き寄せる。

「まあええわ。そうや、私は裕子姉さんや。話が混乱するから、ごっちんは黙っといて
や。私らは私らでなんとかするから。ええな」
最初からこうすれば良かったんや。
ごっちんはガクガクとうなづいた。

やぐっちゃんが、扉の隙間から、こっちをうかがっている。早々に退散だ。
「じゃあねえ、ごっちん」
視界のすみに、ごっちんに駆け寄るやぐっちゃんの姿が見えた。


36 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:17

休憩時間は、あと5分くらいしかない。
私は、平家のみっちゃんに今回のことを相談しようと、ミッフィーのサイフを手に、
公衆電話に向かった。
途中で、
(あれ……またごっちんやな。おーおー、やぐっちゃんに、連れ出されてるやんか。
……楽屋に入ったか)
若い人は、いろいろと活発だこと、とか思いながら、みっちゃんの携帯に電話をかけた。


37 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:21

ピピポパピピ。
「もしもし、みっちゃんか」
『……あんた、誰や?』
「なんや、愛しい人の声、忘れてもうたんか」
ツーッ、ツーッ、ツーッ。
あ、切りやがった。

リダイヤルだ。
「コラぁ、みっちゃん、どういうつもりやねん」
ツーッ、ツーッ、ツーッ。
あ……だんだん、ムカついてきたで。

リダイヤル、と。
『いい加減に――』
「あの、もしもし、わたし、つじのぞみです。へいけさんですか?」
『……あれ、ののちゃん? どうしたの?』
「こらあっ、昨日はドタキャン、今日はガチャ切りかいっ、ウチもいいかげんキレる
で!」
『裕ちゃん?』
「ええから、今日こそはちゃんとウチの部屋に来るんやで。だーいじなお話があるさ
かいな」
『ののちゃんなの?』
ガチャ。
今度は、こっちから切ってやった。ざまあみろ。
なんか、本来の目的と違ってきたような気もするけどな。


38 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:22

スタジオに戻ると、サヤカが落ち着かなげに、そわそわしていた。
前から思ってたけど、サヤカとごっちんってなんかあやしいよなあ。
よーし、ちょっと確かめたろ。
「おーい、サヤカぁ」
「え……どうしたの、ののちゃん」
戸惑ったような、サヤカの表情。
「ごっちんな、やぐっちゃんと2人っきりで、楽屋に入っていったで。なんやろな、
あの2人」
一瞬、本当に一瞬だが、こっちも思わず引いてしまうくらい、サヤカは、別人のような
恐ろしい顔をした。

「ふ、ふーん。そうなんだ。ホント、なんだろうね」
サヤカは、瞬時に笑顔に戻し、しかし、とたんに挙動不審になった。
私が、汗かいちゃった、とか言いながら、背を向けてタオルを取るフリをしているうち
に、サヤカはダッシュでスタジオを出ていった。
こっわいなあ。あれ、マジやな。
ウチ、知らへんで。


39 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:22

「そもそもや。みっちゃんが、昨日、ドタキャンせえへんかったらやな」
「そんなん、ウチが裕ちゃんと入れ替わってたかも知らへんやんか。一気に7才も
年取りたーないで」
「うわっ、ひどいな。モーニング娘。になれる、最後のチャンスやったかも知れへ
んねんで」

レッスンが終わってから夜遅く、みっちゃんは、部屋を訪ねて来てくれた。2人の様子
を見て、すぐに事情を悟ってくれたようだ。
持つべきものは、親友やでやっぱり。
「親友ちゃう、っちゅーねん。クサれ縁なだけやで」
しっかしなあ、とビデオを見ながら、振り付けの特訓をしている中澤(辻)を見やった。
そして、ビールを飲んでいるウチを見る。


40 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:23

「こうやって、枝豆食べながら関西弁しゃべるののちゃんってすっごい違和感やな。
あんた、もしかして、昼間もそれで通してへんやろな?」
あ、と私は目を見開いた。
やっぱりな、とみっちゃんはため息を漏らした。

「とりあえず」
みっちゃんは、言う。
「明日、ありったけの酒持ってくるわ。それ2人で飲んで、昨日と同じ状況作ってみ。
上手くいけば、それで戻るかも知れへん」
「うん、みっちゃん頼むわ」
「で、お礼は何をいただこーかなあ」
「お礼か……辻、ちょっと休憩や。こっち、来」
ふう、と息をついで、辻はテーブルセットのところへ走ってきた。当然だけど、まだ
まだヘタっぴだ。これでは、明日の練習にも参加させられない。
「うーん、まだまだやな」
「ごめんなさい。もっとがんばります」
顔を伏せ気味に、しゅん、とした表情で、ぺこりと頭を下げる。
おお、とみっちゃんは声を出した。
これ、と、中澤の身体(ややこしいな)を指さして、メッチャかわいいやん、と言った。


41 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:23

「そやろ。これからな、みっちゃんに、お礼したって欲しいねん。ちょっと我慢して
たら、すぐ終わるから」
「ええんか、これ?」
「好きにしてや」
「ええと、わたしは、なにをするんですか?」
きょとん、とした表情の中澤。

「ウチとみっちゃんはな、お互いの身体の火照りをなぐさめあう、ライトで大人の
関係やねん。じゃあ頼むで」
くくくくっ、と笑いをこらえながら言う。
みっちゃんも、話を合わせてくれた。
「そやで。覚悟決めや」
みっちゃんは、私に(いや、中澤の身体に)抱きついた。
「ええっ、こんなのヤですっ」
「騒いでも、誰も助けにこえへんでぇ」
怯えた目で、みっちゃんを見上げる中澤。すでに、押し倒されてしまっている。
なんや簡単やな。

「へいけさん、やめて、やめてくださいっ」
「うおお、これ、めっちゃ興奮するやん」
「ほどほどにしたってや」
顔を固定され、みっちゃんの唇が迫る。
んん〜、と必死で逃れようとする中澤(辻)。


42 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:24

私の身体が、みっちゃんに襲われる光景を横から見てて、実は、少し妙な気分になった。

ついに、辻は泣き出した。
ウチら2人は、大笑いした。
「冗談、冗談や。辻〜、マジやな〜」
ベッドにへたり込んで、しくしく泣いているウチの姿。
「なんかそそる光景やな」
「なら、ウチと続きやるか?」
唇を突き出して、みっちゃんを誘う。
みっちゃんは、私を見下ろして、
「それ、犯罪やん」
ぼそりとつぶやいた。

辻の歌とダンス特訓は、深夜にまで及んだ。
「ほら〜、恥かくのはウチやからなあ。へばってたら、みっちゃんけしかけるでえ」
「ウチは、猛獣かい」
辻は、よほどイヤだったらしい。
特訓が終わる頃には、まあ、まだ体調不良だから、とごまかせるくらいには技術が
向上していた。

(「1日目:ののの世界」終わり)


43 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:24

次回は【2日目:お風呂♪】です。ちゃぷちゃぷ。
ではでは。


44 :名無しさん@1周年:2000/06/22(木) 23:26
面白かったです! すごく楽しみ。
もう1つの小説にも期待してます。

45 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:26
う〜ん、下げが、うまく効かないッスね。


46 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:27
ま、いっか。

47 :黄色い狛犬:2000/06/22(木) 23:27
すみませんね。

48 :黄色い糞大:2000/06/22(木) 23:33
カレー食いすぎ


49 :23:2000/06/23(金) 00:14
うまい言葉がみあたらないっす!!
2chでわらったのひさしぶり!!こっちは本人達にもみてもらいたい!
うけるだろうなぁ・・・

50 :名無しさん@1周年:2000/06/23(金) 01:51
飯田様の登場の可能性があるのは、やはりこちらでしょうか。
応援させていただきます…

51 :名無しさん@1周年:2000/06/23(金) 02:49
まだここに感想書いていいのかな?
向こう読んでからこっち見るとおもしろさも倍増ですね。
ダンスレッスンのシーンは爆笑しました。
続き待ってます。
・・・で、鯖移転しちゃいましたけど続きってどこでやるんですかね?

52 :黄色い狛犬:2000/06/24(土) 00:26
続きは、↓ここでいきます。
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